日本ロックシーンの頂点に君臨し今なお精力的な活動を続けているギタリスト、Char。
彼のデビュー35周年にして、フェンダーカスタムショップ製Charシグネイチャー・ストラトキャスター、“Charizma”(カリズマ)が遂に完成した。
2010年夏、水面下でCharシグネイチャー・プロジェクトが動き出した。Charが長年愛用し日本で一番有名なストラトキャスターといっても過言ではないバーガンディ・ミスト・メタリックの1959年製ストラトキャスターと、現在メインギターとして活躍するダフネ・ブルーのカスタムショップ製1961ストラトキャスターの長所を融合させる事を基本コンセプトとしたパイロット・ランの製作が始まったのである。
パイロット・ランの製作においては、アーティストからの要求に対し高いレベルで応えていく事が必要とされるため、フェンダー最上級のクラフツマンであるマスタービルダーが製作にあたるのだが、Charはその任務をマスタービルダーに昇格して間もないポール・ウォーラーに託した。曰く、『新鋭ビルダーとしてのモチベーションとポテンシャルに期待』したのである。そこからCharとウォーラーとの間でネック形状からピックアップ、ボディ・カラーに至るまで仕様の詳細を詰めていった。その間、開発過程の2011年2月にフェンダーとのエンドースメント契約締結を正式発表。パイロット・ラン完成後は、すぐさま日本に送られChar自身による入念なチェックが行われた。6月にはウォーラーとカスタムショップ・マーケティング部門のディレクター、マイク・エルドレッドが来日し、Charと共にパイロット・ランの最終検証を行った。そして7月、今度はCharがフェンダー・コロナ工場に赴きカスタムショップでの最終チェックを経て“Charizma”(カリズマ)が完成した。
プロダクション・モデルは、フェンダー最上級のギター製作部門カスタムショップより、チームビルトで200本限定製作される。初回入荷は2011年12月を予定している。
“Charizma”(カリズマ)は、Charが愛用する2本のストラトキャスターが元になっている。
ピックアップはバーガンディ・ミスト・メタリックの1959年製ストラトキャスターを基調とし、Char自身による度重なるサウンド・チェックの末、誕生した。ネック・シェイプは’59ストラトとダフネ・ブルーのカスタムショップ製1961ストラトの形状を隈なく測定し、Charにとって最もフィーリングの良いシェイプを追及した。
ボディ材についてはウェイトよりもネックとのバランスを重視、ピックガードにはミント・グリーン3プライを採用。バック・プレートはカスタムショップ製ダフネ・ブルー同様通常よりも短くなっており、弦交換が容易に出来るようになっている。
“Charizma”で一番時間をかけ力を入れた仕様のひとつに挙げられるボディ・カラーには日本の伝統色を採用、これは60年以上に渡るフェンダーの歴史において初めての出来事である。幾度にも渡るミーティングを経てCharが選んだ伝統色は、煤竹色の少し淡い黄褐色で江戸時代に流行したと言われている“銀煤竹” (英語名:Light Brown of Maple Sugar)である。因みにここでの「銀」は「うすい」という意味で使われている。この銀煤竹色とメイプル・ネック、そして金色のFenderロゴ・デカールとのコントラストが絶妙なバランスを醸し出し、美しい仕上がりとなっている。
ネック・プレートには特別なシリアル・ナンバーと竹中家の家紋が刻印されている。さらに5弦3フレット部と3弦5フレット部のポジション・ドットが三日月型になっているのだが、これはCharの“C”と音階の“C”を掛けている。
作り手であるフェンダーの伝統と、弾き手であるCharのアイディアが融合した“Charizma”は、まさに究極のシグネイチャー・ギターであると言えよう。